第69期 卒業式 式辞
2月24日(金)午前10時から 第69期卒業証書授与式 が挙行されました。
式 辞
春の訪れを感じる今日の佳き日、大阪府教育センターから稲田なおみ指導主事様をはじめ、多くのご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、大阪府立港高等学校 第69回卒業証書授与式を挙行できますことを嬉しく思います。
ご来賓の皆様には、公私何かとご多忙の中、ご出席頂き誠にありがとうございます。高い席からではございますが、厚くお礼を申し上げます。また、保護者・ご家族の皆様におかれましては、卒業生を暖かく励まし、支えてこられた これまでの限りない愛情とご苦労に対しまして 深く敬意を表すると共に今日の日を迎えられたことを、心からお祝い申し上げます。
只今、卒業証書を授与された、313 名の皆さん、卒業おめでとう。港高校での思い出は、皆さん一人ひとりの胸に刻まれていることと思います。 楽しかったことばかりでなく、苦しかったことや辛かったこと、一所懸命に何かに取組み頑張ったこと、その量が多いほど思い出は深いものとなっているでしょう。
夢と希望に胸を膨らませながら港高校に入学した3年前、不安の入り混じった顔で高校生活をスタートさせたばかりの皆さんに、私は、高校生活は、新たな自分を知る、自分探しの旅、可能性への挑戦の時期であり、何事にも積極的にChallengeすることを旨としてほしい。そして、そのための努力を怠るなというお話をしました。今、これまでを振り返ってみて、皆さん自身はどうだったでしょうか。何かに打ち込めましたか、色んなことにチャレンジできましたか。また、入学の時に持った夢や目標は、どうなったのでしょう。実現できたのでしょうか、近づくことができたのでしょうか、そして、皆さんがこれから歩んでいく道は、その頃の夢とどのようにつながっているのでしょうか。
長い人生を考えたとき、高校生活は通過点にすぎません。今日から皆さんはそれぞれの道へ新しい一歩を踏み出します。先には色んなことが待ち受けているでしょう。人生には成功よりも、躓きや失敗の方が多いものです。 どんなに能力の高い人でも必ず失敗はします。勿論、失敗しないに越したことは無いし、失敗を歓迎する人はいないと思います。社会に出てからは失敗すれば、むしろ咎められたりすることの方が多いものです。でも、失敗は人生において必要不可欠なものです。チャレンジには、失敗がつきものですが、そのことを恐れて何もしないでいるというのは、自分自身の成長を妨げることに他なりません。大切なのは、失敗しないように努力する、準備をすることであり、たとえ失敗してもそこからどうして立ち上がり、何を学び、それを今後にどう生かしていくかということです。こう言っている私自身にも色んな失敗がありました。皆さんより一月遅れて私も港高校を最後に現職を退きますが、今皆さんに語りかけていることは、自分自身に語っているような気もしています。
少し古いですが、人生の在り方、生き方を詠んだ詩にアメリカの実業家 サミュエル・ウルマン氏が自費出版した『80歳の歳月の高見にて』という本に収められた ”YOUTH”(青春)という詩があります。それは第二次世界大戦後、リーダーズ・ダイジェストという雑誌に掲載され、連合国司令長官を務めたダグラス・マッカーサーが座右の銘として部屋に掲げていたことから、日本でも知られるようになったそうです。紹介します。
青春とは、人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。 若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、安易に就こうとする心を叱咤する冒険への希求がなければならない。 人間は年齢を重ねた時老いるのではない。理想をなくした時老いるのである。 歳月は人間の皮膚に皺を刻むが、情熱の消失は心に皺を作る。 悩みや疑い・不安や恐怖・失望、これらのものこそ若さを消滅させ、雲ひとつない空のような心をだいなしにしてしまう元凶である。 六十歳になろうと十六歳であろうと人間は、驚きへの憧憬・夜空に輝く星座のきらめきにも似た事象や思想に対する敬愛・何かに挑戦する心・子供のような探究心・人生の喜びとそれに対する興味を変わらず胸に抱くことができる。人間は信念とともに若くあり、疑念とともに老いる。自信とともに若くあり、恐怖とともに老いる。希望ある限り人間は若く、失望とともに老いるのである。 自然や神仏や他者から、美しさや喜び・勇気や力などを感じ取ることができる限り、その人は若いのだ。 感性を失い、心が皮肉に被われ、嘆きや悲しみに閉ざされる時、人間は真に老いるのである。 そのような人は神のあわれみを乞うしかない。
皆さんも、常に希望と挑戦する心を忘れず、これからの人生を歩んで下さい。
時代は今、成長社会から成熟社会へと大きく変化し、AI技術の発展や産業構造の変化は、働き方についても大きな変化をもたらそうとしています。このような変化に敏感に対応し業態を変えられることが今後の企業の生き残りの条件になると言われていますし、「変化に即応し主体的に行動できる人間」が社会で求められる人材となっています。
そのような時代に生きていく皆さんに、もう一度、「何事にも積極的にチャレンジすることを旨とし、そのための努力を怠るな」ということ、そして「いつも夢や希望抱き、感謝の気持ちを忘れず、情熱を失うな」という言葉を餞の言葉とします。
これまで本校を卒業した3万名近くの先輩方が社会の様々な分野で活躍をされています。皆さんも今日からその一員です。港高校の卒業生であることに誇りを持ち、本校の合言葉である Challenge, Change, Smile!の精神を忘れず、力強く明日の世界へ漕ぎ出してください。
私たち教職員は、皆さん一人ひとりの健康と活躍を心から応援しています。皆さんとの出会いに感謝するとともに、皆さんのこれらからの前途が幸多いものとなることを祈念し、祝辞といたします。
平成二十九年 二月 二十四日 大阪府立港高等学校長 吉田 景一