校長室からのメッセージ

体育祭を振り返って 【寄稿】

自治会新聞 第2号 が発行されました。お知らせのページにPdfファイルで掲載しましたので、ご覧ください。

新聞の裏面に、3年生学年主任の片岡知子先生から「体育祭を振り返って」という寄稿を頂いています。ここでも再掲させていただきます。

体育祭を振り返って

体育祭が終わりました。楽しくて爽やかで気持ちの良い体育祭でした。応援団を中心とする、全体の質が向上したからだと思います。 応援団のみなさん、今年は不思議なほど順調に進んだのではありませんか。もちろん、もめ事、愚痴、反発などいろいろあったでしょうが、どれも小規模なもので、たとえば分裂してしまって誰かが大泣きしてしまうとか、外部から苦情が寄せられて活動を一時停止せねばならないといった、大きな問題はなかったようですが? それは、応援団の中心メンバーの意識が高かったからだと思います。

69期生には2年生の後半から、小畑先生企画のリーダー研修が実施され、幹部希望者は、全回を受講することが条件でした。この研修の中で、集団作りや衣装費用のことなどを話し合ううち、中心メンバーの中に仲間意識が生まれ、体育祭全体を成功させたい雰囲気作りが出来たのでしょう。 そして迎えた始業式の日、4/8が重要でした。式のあとに研修メンバーが集まり、自分たちで団のクラス分けを考えたのです。自分の団が優勝するためには、できるだけ力のある人たちのいるクラスと組みたいのは人情です。でもみんながそう振る舞うと、各団の男女バランスや団長・副団長候補者の振り分けがうまくいかない。どうすれば、全体がうまくいくか。私利私欲から離れて結論を出すのは難しかったですね。3時間近くかかりました。途中で疲れてしまって「もう先生達の考えた案を教えてもらって、その通りにしようか…。」に傾きかけた瞬間もありました。それでも譲り合うところは譲り合い、全体のバランスを考えて自分たちで結論を出しました。さらに続いて、団長・副団長の選挙。幹部を目指しながら基準を満たせず立候補できなくなって涙をこらえるメンバーもいる中、立候補のスピーチが始まりました。研修メンバーによる投票と開票では、お互いの真剣さを知るが故に、息詰まる場面もありました。たった一票差での当選と落選も…。それでも「どうして?」とか「こんなん、おかしい」と言う人もおらず、出た結果を冷静に受け入れる態度は立派でした。この日に長時間をかけて自分たちでクラス分けをし、真剣に団長・副団長を決めたことが、その後のスムーズな流れにつながったと思っています。 そんなメンバーに、三年担任団から一つの提案をしました。4月下旬の遠足の全体レクを、体育祭の前哨戦と考え団対抗にして取り仕切ってみないかと。今までの体育祭では、応援団と団員以外の人との温度差も問題点の一つでした。 遠足の全体レクは、両者の壁を少しでもなくすいいチャンスだと思ったのです。幹部達は見事にその期待に応え、服部緑地のサッカー場で大縄跳びとドッチボール大会を手際よく運営して全体に貢献し、体育祭で団以外の人たちが協力したくなる雰囲気を作りました。

このように全体の流れが順調なだけに、審査員としては困りました。優劣が付かないのです。その心配は、5/29(日)の「見せ合い」で現実のものになりました。これは、他の団やOBに出来具合を見てもらうという港高校独特の風習ですが、どの団も、この時点で既にすばらしかったのです。私に見る目がないのかと思いましたが、見に来ていた昨年団長の養父君と金子君も「ホンマ、今年すごいです。僕らの時と全然違います。ずっといいです。」と言うのです。「やっぱりそうか…」どうしたものかと一週間ずっと困っていました。

さて、当日の審査評価について、私のコメントを述べておきます。まずテント装飾は、青団がすっきりとセンス良くまとめていました。次いで黄団がインパクトがあって良かったですね。入場行進では、赤団のかけ声が大きく元気もあって◎。次いで黄団。青団は途中にメガホンを持った団員が大きな声で号令をかけて効果的でした。赤団は競技中の応援も一番途切れることなく行って◎。次いで白団・黄団が良く応援していました。青団の応援はユニークな節回しで、みんな楽しみながらできたようです。 演舞は、本当に優劣がつけにくかったです。青団は振り付け・隊形ともにオリジナリティがありました。表裏で色の違う扇子の使用も効果的で、美しかったです。白団は、体を反らせた一番苦しい姿勢の時が印象的でした。あのとき衣装の裏地が金色に、襟元は太陽の光で銀色に光り、本当にきれいだったのですよ。黄団はどの団よりも太鼓のテンポが速く華麗で、それなのに良くそろい、練習の多さを感じさせました。赤団とは僅差だったでしょう。赤団は、良くそろっていた上に力強さが伝わりました。仮面の装着も一瞬で行って、鮮やかでした。他の先生方の視点はまた違うでしょうが、これが私の感想です。

終わってからOBの大島さんと会いました。昨年の青団の副団長です。「去年は団によって出来具合に差があったけれど、今年は本当にどこもよく練習していて、差が無かった。全体のレベルが上がっている。」と言っていました。それは昨年、彼女の団が全体練習などで時間を上手に使い、高いレベルを目指して頑張ったのを見ていた後輩達が、今年は各団に散らばりノウハウを伝えたからでしょう。「そんなふうに言ってもらえるなんて嬉しい」と喜んでいました。昨年、体育祭が近づくにつれ不安を増していく団長に対して、彼女はこう言ったそうです。「やってきたことを信じて、やるしかないやん。」その通りです。でも、とことんやってきていなければ、この言葉は言えないし支えにもなりません。

応援団のみなさん。三年生はとことんやりましたね。「本当に楽しかった」と、あちこちで聞きました。本当の楽しさが、時間のかかるもので苦労や工夫の先にあることに気がついたと思います。また、倉内先生から繰り返し言われたように、他の多くの人たちの協力があってこそ可能になるということも知りましたね? 二年生は「来年はこうしてみたい」と既に構想を練っていますか。一年生のみなさん、大人に見えた団長達も二年前は一年生。「絶対来年は応援団をやる。そして、再来年は団長になる!!」という憧れから出発したのです。「信じてやった」のです。

いい体育祭でした。次のステージへ向かいましょう。

三年担当 片岡知子