第70期 入学式 式辞ではこんなお話をしました。
式 辞
菜種梅雨、まさに恵みの雨の中、 平成二十七年度 大阪府立港高等学校 第70期生 入学式を挙行するに当たり、大阪府教育委員会ご代表様をはじめ、ご来賓の皆様、そして多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、心からお礼を申し上げます。
先ほど入学を許可しました 320名の新入生の皆さん、入学おめでとう。府立高校の選抜制度が大きく変わる中、皆さんも進路選択に悩まれたことと思いますが、今日晴れてこの日を迎えられたことに、改めてお祝いを申し上げます。
桜の花も満開を過ぎ、この雨の中、随分散ってしまいましたが、長い冬の間、じっと耐え続けてきた草木が、一斉に芽吹いてきています。
「春風や 闘志抱きて 丘に立つ」
この高浜虚子の俳句は、時代を超えて心に響く句であると思いますが、今、皆さんの心はいかがでしょうか? 意欲に燃えていますか。
人間は、誰しも楽をしたいと思います。でも、今の自分をもっとよくしたい 向上させたいという気持ちがあることも事実です。入学式はこのような気持ちの切り替えに一役買ってくれる機会でもあります。
さて、本校は1911年(明治四十四年)に江戸堀高等女学校として創立、3年後に校名を市岡高等女学校と改称し、現在の地に移転して本格的な歩みを始め これまで104年の長きに渡って歴史と伝統を築いてきました。 戦後の学制改革で男女共学の港高等学校と改称され、皆さんは、70期生として、節目の年に入学されました。
4年前に創立100周年を迎え 「受け継がれた1世紀…漕ぎ出せっ!未来へ」という キャッチフレーズのもと 港高校の新たなる挑戦が始まっています。 これまでの伝統を受け継ぎ、未来を展望し、さらなる発展をめざすのは、他ならない皆さん自身です。 どうか一人ひとり、港高校生としての自覚と誇りを持って、今日から始まる高校生活を送ってほしいと思います。
正門の手前、左側に本校の校訓を刻んだ碑があるのに気付きましたか? 配布している式次第の裏側、一番下にも印刷されていますが、校訓は「悠志青雲」 皆さんが、遥かなる未来に向かって、人徳を磨き、よりよい社会づくりに貢献できる人材に育ってくれることを願って制定されたものです。受け身で、流されることなく、知識を得、今の自分を高めてください。今を大事にし、努力することを怠らないでください。そして、感性をしっかりと磨いてほしいと思います。
学校教育目標の合言葉は、Challenge, Change, Smile !
皆さんには、このChallenge「挑戦する」ということを特に意識してほしいと思います。 高校生活は中学校時代と比べものにならないくらい多くの挑戦の機会があります。学習活動は勿論、学校行事、部活動、生徒自治会活動等あらゆる機会を自分自身の挑戦の場であると捉えて全力で取り組んでください。 これまで自分自身に設けていた限界という枠を取り払って、今までの自分から抜け出して飛躍していく、新たな自分を知る、自分探しの旅、可能性への挑戦の時期が高校生活なのです。 これまでの自分が驚いてしまうほどの新しい挑戦ができるのが高校生活です。
経営の神様といわれた松下電器の創業者、松下幸之助氏の言葉にこんなのがあります。「やってみなければわからない。砂糖の甘さや塩の辛さはなめてみないと分からない。いくら水泳の講義を聴いても畳の上の練習では泳げるようにならない。何事も実際に体験して初めて真に理解し身につくのである。百聞は一見にしかずというが、百聞百見は一験(一つの経験)にしかずとも言えよう。
是非何事にも積極的にChallengeすることを旨としてください。
このChallengeとともに 皆さんに大切にしてほしいこと それは、「夢を持つこと」 です。
先行き不透明な今の世の中で、夢を持ち自分の理想とする生き方に沿った人生を送るということは、とても困難なことかも知れません。 でも、夢や目標を持ち、その実現に向けて最善の努力をしていくということは、このような世の中だからこそ、とても大切なことだと言えます。 そのためには世間をよく知り、客観的な物の見方で自分自身を知るということへの努力や忍耐が必要となります。夢や目標を持つ だからこそ その実現に向けてチャレンジできるのです。
そしてもう一つ、「思いやりと感謝の気持ち」です。
人は決して自分一人で生きているのではありません。支え支えられて存在しているということを知る必要があります。あなたの知らないところにも様々な人生があります。あなた自身の人生がかけがえのないように、あなたの知らない人生もまたかけがえのないものなのです。自分を大切にし、他人を思いやる心、助け合い仲間と支え合う心、両親、家族、友達、先生方、自分を支えてくれている人への感謝の気持ちを決して忘れずに生活してほしいと願っています。 あなたの周りには、必ずあなたを支えてくれる人がいるということを忘れないでください。一生の友人を得るのも 正にこの時期であるとも言えます。
皆さんのこれからの港高校での生活が人生の素晴らしい一ページとなることを祈っています。
最後になりましたが、新入生の保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。高校生活は、お子様が責任ある社会人として自立していくための非常に重要な時期にあり、心身ともに様々なことに遭遇する時期でもあります。私たち教職員一同、社会人としての基本的ルールである時間を守ることや服装等の規律指導は勿論のこと、生徒の皆さんの自己実現や目標達成のために全力を尽くして支援をしてまいりますが、教育は学校だけの力で成し遂げられるものではありません。どうか本校教育にご理解ご協力をいただきますとともに、常に暖かく、時には厳しくお子様方を見守り、しっかりと支えていただきますようお願いを申し上げまして、式辞といたします。
平成二十七年四月八日 大阪府立港高等学校長 吉 田 景 一