2月26日 卒業式式辞
先週の金曜日(2月26日) 第68回卒業式が行われ 264名の先輩たちが卒業しました。 晴天に恵まれ、多くの来賓や保護者の方にご臨席いただき、涙あり、サプライズありのとても良い式になりました。 当日は、関西テレビ、テレビ大阪、毎日新聞、産経新聞の取材もあり、ニュースや記事としても取り上げられました。 卒業した264名の皆さんにも思い出に残る式となったことと思います。
当日に私が読み上げた「式辞」を掲載します。
式 辞
春の訪れを感じる今日の佳き日、大阪府教育委員会から西田恵二首席指導主事様をはじめ、多くのご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、大阪府立港高等学校 第68回卒業証書授与式を挙行できますことを嬉しく思います。
ご来賓の皆様には、公私何かとご多忙の中、誠にありがとうございます。高い席からではございますが、厚くお礼を申し上げます。 また、保護者・ご家族の皆様におかれましては、卒業生を暖かく励まし、支えてこられた これまでの限りない愛情とご苦労に対しまして 深く敬意を表すると共に 今日の日を迎えられたことを、心からお祝い申し上げます。
只今、卒業証書を授与された、264 名の皆さん、卒業おめでとうございます。
港高校で学んだ3年間、これまでの様々なことが思い出として心に刻まれていることと思います。皆さんが港高校に入学した年に赴任した私にとってもこの3年間の月日は、つい昨日のことのようでもあります。同行したオリエンテーションキャンプでは、希望や不安の入り混じった顔で高校生活をスタートさせたばかりの皆さんが、3年後にどのように成長し港高校を卒業されるのかが楽しみでありました。そしてその日を今日こうして迎えられることを、幸せに思います。港高校を去るにあたり、其々の想いは異なるでしょうが、楽しかったことばかりでなく、苦しかったことや辛かったこと、一所懸命に取組み頑張ったことの量が多いほどその思い出は深いものであると思います。
3年前の入学式で私は、皆さんに大切にしてほしいことの一つとして、「夢を持ち実現のための努力を惜しまないでほしい」というお話をしました。覚えている人いないかも知れませんが、皆さんが、入学した時に持った夢や目標は、今どうなっているのでしょう。実現できたのでしょうか、近づくことができたのでしょうか、あるいは変貌を遂げたのでしょうか。そして、皆さんがこれから歩んでいこうとする道は、そのころの夢とどのようにつながっているのでしょうか。
今、時代は成長社会から成熟社会へと大きく変化しています。一昨年オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の論文が世間で話題になりました。 AI技術(人工知能)の発展により機械が我々の仕事を奪う時代に突入する。人間しかできない新しい発想や価値を生む以外の仕事はロボットに奪われる可能性があり10年後には今ある仕事の半分の仕事は無くなるだろうというものです。時代の変化や産業構造の変化を敏感に感じ取り業態を変えられることが今後の企業の生き残りの条件になるといわれています。求められる人材についても 「マニュアル型人間」ではなく、「状況の変化に即応し主体的に行動できる人間」へと変化しています。 さらには、グローバルな視点と知的想像力によって、常識や前例を疑い、人類の持続可能な発展につながる新発見や新技術、新制度など新しい価値を生み出すことのできる人材が求められています。そのような時代に皆さんは確実に生きていかねばなりません。このようなことを言うと不安になるかもしれませんが、このような時代だからこそ夢や目標をしっかりと持つべきなのです。皆さんには、まだ自分自身でも気付いていない能力や適性があると思います。自分の能力を過小評価したり、固定的に捉えるのではなく、これからも様々な分野の勉強やスポーツ・芸術、文化に全力で挑戦し、異文化や異分野からも多くを学ぶことで国際的な感覚も身に付けてほしいと願っています。そうすることで今まで自分が気づかなかった新たな長所や能力を発見することに繋がり、自分なりの夢や目標を持つことができるのだと思います。 今、皆さんの卒業に当たり、もう一度「夢を持ち実現のための努力を惜しむな」=すなわち「志をもて」という言葉を送りたいと思います。
「夢がありそれを実現させる意欲は繁栄の原点である。」と言う言葉があります。夢や目標がないところには、ビジョンや計画もなく、ビジョンや計画のないところには行動もなく、行動がなければ、成果も成功もありません。行動の原点ともなる夢や目標、「志」をしっかりと持ってこれからの人生をたくましく歩んでもらいたいと思います。
これまで本校を卒業した2万8千名近くの先輩方が社会の様々な分野で活躍をされています。皆さんも今日からその一員です。港高校卒業生であることに誇りを持ち、Challenge, Change, Smile!の精神を忘れず、明日の世界へ漕ぎ出してください。
私たち教職員は、皆さん一人ひとりの健康と活躍を心から応援しています。皆さんとの出会いに感謝するとともに、皆さんのこれらからの前途が幸多いものとなることを祈念し、祝辞といたします。
平成二十八年 二月 二十六日 大阪府立港高等学校長 吉田 景一